人生、とりわけ恋愛の喜びと苦悩を描ききった王朝文学の最高傑作・源氏物語。作者である紫式部の日記から、源氏物語が寛弘5年(1008)には宮中で読まれ、評判になっていたことがうかがえます。そこで平成20年(2008)を「源氏物語千年紀」ととらえ、またこの年が当館の開館20周年にあたるのをあわせて記念して、特別展を開催します。 「源氏物語を読める幸せに比べたら、お后の位などなにほどでもない」。源氏物語が書かれてまもなく、菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)はそう記しました。以降、源氏物語は現代にいたるまで読まれ続け、さらに今日では世界の様々な言語に翻訳されています。一方、日本の古典芸術において源氏物語の影響を受けていない分野は皆無といって過言ではなく、とくに美術では多様な「源氏絵」が盛んに制作され、それらがまた源氏物語の理解や愛好をうながしました。 本展では、千年の長きにわたり愛されてきた源氏物語の世界、その主要な登場人物や名場面を優れた絵画作品によって紹介するとともに、源氏物語の背景となった平安時代の文化や、源氏物語をめぐって現代まで積み重ねられてきた様々な営みも展観します。源氏物語の魅力を実感できる絶好の機会となるでしょう。 |
プロローグ 源氏物語への誘い 第1章 作者・紫式部 第2章 源氏物語の世界 第3章 写本 その営みと美 第4章 源氏物語の楽しみ エピローグ 源氏物語の雅 |
源氏物語が書かれて1000年になる今年、石山寺、宇治を中心とした滋賀、京都のみならず、日本全国で「源氏物語ブーム」である。本屋もいつもにも増して、源氏物語関連の著作が多く並んでいる。源氏物語は1000年前の作品ながら、当時の実物本などはなかなか残っていなくてその後に作成された多くの写本による。これでも何百年も前の物である。今ならコピー機で簡単なところ、ものすごい労力をかけて書き写している。それだけの人気小説であった。西暦1008年の手紙はまさに1000年前の物、国宝、国宝、国宝の連続に思わずためいきが。全国の美術館から集めた絵巻物も美しく、非常にいい物を鑑賞した。このものすごい人気に一番驚いているのは、1000年前の紫式部さんではないか。多くの作家がそれぞれの工夫をこめて彼らなりの源氏物語を完成させている他、なんと世界各国でも翻訳されているのにも驚く。いかに源氏物語がすごいものか改めて感じる。 それにしても、この客の入りはすごい。会期末近くになって、このところ、毎日6000人という。平日でもこんなのだから、土日は完全に入場制限しないと見物は困難。大きな屏風はまだしも、小さい書簡などの展示は低い位置の壁に沿って展示されており、愛知万博の時の動く歩道のようにでもしないと、ジッと観察する人がいると、全く前へ進まない。列の壁から遠く側の場合は全く見えない。音声ガイドを利用する人は全部聞き終わるまでその展示物から離れないから、これも影響する。 |
100万字にもおよぶ長編小説、まるまる読もうとしたら、大変。日本人なら一度は読むべきと、1編数ページの超ダイジェスト版を読んだことがあるが、これから読んでみるか・・・ライフワークで・・・ |