シュウゾウ・アヅチ・ガリバー EX-SIGN(エクス・サイン)展 2010/03/17




久しぶりのいい天気。たまには外へ出よう。バイクで30分。


 シュウゾウ・アヅチ・ガリバー(本名:安土修三)は1947年、現在の滋賀県大津市に生まれました。高校時代より手探りでハプニングなどの美術活動を始め、さらに大学の哲学科在籍中に出会ったマルセル・デュシャンの作品集から大きな影響を受けます。


 1967年上京し、スクリーンの内と外とが交錯するかのような実験的な映画作品を発表した後、1973年より代表作'Body Contract(肉体契約)'に着手します。作家の死後肉体を80の部位に分割し、特定する執行グループを通じて特定された80人の保管に委ねようとするプロジェクトであり、作家にとって大きな転機となった作品です。1984年には作家が「立つことができる」「座ることができる」「横たわることができる」空間の容積にそれぞれ対応した、三つの直方体からなる構造体の内部で240時間を過ごすパフォーマンス'De-Story'を発表します。また90年代に入る頃より、DNAを構成する4つの塩基(アデニン、チミン、シトシン、グアニン)の組み合わせであらゆる生物を理解しようとする考え方に興味を持ち、その頭文字ATCGを用いた作品を精力的に制作しました。一方、70年代以来の「かたち」や「しるし」をめぐる関心は、近作'EX-SIGN'シリーズでさらなる展開をみせつつあります。


 その幅広い関心を反映して、作品はドローイングやインスタレーション、パフォーマンスなど非常に多岐にわたっていますが、すべては存在や自己に対する独自の問いかけや、あらゆる既成の枠組みを自明とせず、より根源的な問題へと肉薄する姿勢によって貫かれています。90年代以降は主にヨーロッパで活動していることもあり、その全貌はいまだに謎に包まれているといってよいでしょう。初の包括的な展覧会となる本展は、初期作品から最新作へと至る約120点により、戦後美術に独自の位置を占めるその芸術を一望するものです。


 便器を1個だけのマルセル・デュシャンを信奉する彼は膳所高校在学中に第1作アートを生み出す。巨大なスイッチの映像でオンされると部屋が明るくなるリアルタイム映像、240時間過ごしたという心臓の鼓動が鳴り続ける箱の展示までし良いとしても、自分の死後の肉体を80に分けて保管してもらうという肉体契約など、もう、凡人には狂気としか思えない。「ええかげんにしてえ」。




つれづれぐさページへ戻ります。



2010年のつれづれぐさへ