朝鮮半島の虎は、古来人々と深く関わり、虎を題材とする民話や美術工芸品が今日に伝わっています。山神信仰により仙人の使いとして虎を描いた「山神図」や、報喜を意味するめでたい図像としての「鵲虎図」は、正月の吉祥飾りとして用いられました。これらの資料からは朝鮮の自然から芽生えた民族性を知ることができます。 また、日本の人々にとっては、自国内に生息しない虎は早くから人々の興味の対象となり、江戸時代には絵画の一つの画題として多く取り上げられています。伊藤若冲(1716~1800)の描いた鹿苑寺の「竹虎図」は正伝寺に伝わる「虎図」をもとに作画されたものであることはかねてより知られるところですが、近年の調査でこの虎の絵が朝鮮半島で制作された可能性が高いといわれるようになりました。このたびは若冲の描いた竹虎図と正伝寺の伝わる虎図が一堂に会する、貴重な機会であり、報恩寺や妙心寺が所有する中国の虎図や朝鮮通信使画員が描いた虎図などもあわせて出品します。 寅の年を迎える2010年。本展では、朝鮮のシンボル的な存在である虎にスポットを当て、日本との関係にも迫ります。 |
・中国の虎の絵・・・鳴虎之図、子連虎図 ・朝鮮の虎の絵・・・虎図、龍虎図、山神図、鵲虎図 ・朝鮮通信使と虎の美術・・・松下虎図、嘷虎図、朝鮮通信使絵巻 ・日本で描かれた虎の絵・・・若冲画竹虎図、光琳画竹虎図 ・民俗資料にみる虎・・・虎文枕隅、白磁竹虎文筆筒 など約40点 |
2010年のつれづれぐさへ |