幕末浮世絵展〜大江戸の賑わい〜 2007/04/21
北斎・広重・国貞・国芳らの世界


大丸京都ミュージアム



 千本ゑんま堂の帰り、四条烏丸の大丸に寄る。先日の大阪市立美術館のギメ東洋美術館の浮世絵を見たばかり。こちらは、国際浮世絵学会常任理事 中右瑛氏の膨大な浮世絵コレクションから江戸〜明治に渡る大衆的な貴重な浮世絵の数々を見ることができた。



 江戸時代に庶民の間で発展した浮世絵には、当時の風俗・流行が色濃く反映されています。美人画からは当時の最先端ファッション、役者絵では当代人気の役者を知ることができます。特に版画は多くの人々が手に入れやすく、人気絵師の浮世絵は飛ぶように売れ、流行しました。

 浮世絵黄金期を確立した歌麿が亡くなり、写楽が活動を終えた後、文化文政期から始まる幕末期の浮世絵はかつてないほどの賑わいを見せ、多彩な展開を示しました。美人画と役者絵が主体だった浮世絵が、この時期から色々な分野を持ち、物語性を内包してバラエティに富み、面白く、内容が充実します。

 旅への憧れから風景画が広がったのもこの時期です。魔界小説や幽霊芝居の影響で、妖怪退治のヒーローたちを描いた武者絵が出現し、開国にまつわる横浜絵、遊び心あふれる寄せ絵・戯画など娯楽性とニュース性の強いものが生まれました。美人画も描かれる対象が下町層へと向けられ、市井の生活が活写されることが多くなり、浮世絵がより時代性、大衆性を帯びてきます。

 本展では、国際浮世絵学会常任理事 中右瑛氏の膨大な浮世絵コレクションの中から、幕末の賑わいを映し出す肉筆画22点を含む150余点を「装いとお洒落・女心の美人画」「粋とダンディ・江戸の人気役者絵」「四季の名所風景画」「江戸の劇画、霊界・魔界のヒーロー武者絵・芝居絵」「シャレとユーモアの戯画・漫画」「ペリー黒船来航、開国絵・横浜絵」などの章ごとに展観。生き生きとした江戸の賑わい、活気と遊びごころを現代に伝える浮世絵の魅力をご紹介いたします。

 
 北斎の富嶽三十六景、広重の東海道五十三次などは、いわゆる旅のガイドブック。そして、政治の風刺絵、妖怪絵など、実に様々である。現代の雑誌、マンガにあたるものであろうか。
ちなみに、海外でも浮世絵で有名なのは、春画。当然ながら、このような展覧会では実物を見ることはできない。ミュージアムショップでは関連本が多く売られていた。


帰りに京都駅空中回廊から、駅前の黄昏を。


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