レイカディア大学日記 2009/11/06



必修講座 動物から学ぶ〜命を見つめて45年〜

講師 有城 覚 先生



 県内の地域のイベントなどで何度か目にしている「移動動物園」。「ボランティア110番動物園」と銘打って各種の小動物をイベント会場に持ち込んで、子供たちに人気が高い。この動物園を経営する園長さんが、有城さんだ。

ボランティア110番動物園について


2時間を原稿など見ずに、流れるように話す。非常に多くの講演慣れ。


認知症の奥様も舞台で見守る。有城さんが外出中、奥様を看られないことから同席させているのだろう。


 福井県の農家に生まれ、京都府警察官にいたる奇想天外な身の上話。高校時代の友達のバイク事故での死。そして、友を思う行動から数々の警察沙汰に。停学騒動から高校を卒業できず、就職もできなく茫然自失のところへ警察官への道を開いてくれた恩人の話。


 警察官になり、交番へ持ち込まれたキジバト、子犬などを救うため、非番の日に動物園へ教えを請いに通ううち、府警の中で、「動物のことなら有城」となる。そして、有城さんの「ボランティア110番動物園」にいたる、波乱万丈の人生は深い感動を呼ぶ。


 一時は250匹、69種類もの動物が自宅にひしめく。エサの世話、病気のケア。経済的にもものすごい負担。奥様の理解、ご苦労は大変なものだったろう。命にかかわるほどの娘の喘息は動物との同居が原因といわれ、ついに、自宅を動物に明け渡し、家族は近くのマンションに移る。経済的には最悪で、結局、走り回って250匹の動物たちを全て、里親に出すことになる。ワシントン条約指定で、相当高額で売れるはずのオーム30羽は受入れ予定の動物園の動物への心無い態度を見て断ってしまい、福井市の足羽山公園に無償で寄贈してしまうという心意気。


みなさん、犬と猫の歩き方の違いは分かりますか?


 昨年7月に有城さんに大腸ガンが発覚、極貧の経済状態で入院治療を放置している間、かなりの進行でついに、この4月に手術、来週また転移検査などの惨状。認知症の妻の看病、そして自分の病気に「なぜ、自分たちだけが」と神も仏も無いものかと呪うこともあった。しかし、2人とも病気になることでお互い相手を思う気持ちに素直になれ、こういう病気にさせてくれたのは神様のおかげと思うようになったという。実際、その立場になって、深く人生を考えないと出てこないことばだ。




 最後のお話は、長男が小5の時、親に内緒で捨て犬を育てていたことが、学校で給食を残すことから発覚。エサ代を気にして親に言わなかったという。家でエサを出してやるから、その犬を死ぬまで責任をもって育てることを長男に誓わせる。子犬は「ノビ」と名づけられ、そして月日が経ち、老齢犬となった「ノビ」は目も見えず、耳も聞こえず、寝たきり、紙オムツで明日をも知れぬ状態に。長男は「ノビ」を親に託して新婚旅行に旅立つがその間、「ノビ」は死なずに、生き続け、やがて、長男は新婚旅行から帰った時、玄関で、「ノビ」と叫ぶ。なんと、「ノビ」はふらふらと立ち上がり、長男の方へ歩き始め、やがて長男の手の中で逝ったという。死ぬ間際の犬は主人の帰りを待っていたのだ。動物と人間の奇跡的な愛情の物語は、このような環境で生まれたのだろう。


この本を買っていただけたら、動物のエサ代ができます。


奥様には感謝している。


動物を使い捨ての世の中、人間もいずれは・・・


当番のお礼のことばも涙声になり、感動の感想だった。




 仕出し弁当400円。食堂の日替わり定食はどうも油っこいので苦手。更に高い。この弁当はヘルシーでボリュームもそれなりにある。必修講座以外の日にもお願いした。