2011年の師走に 2011/12/31



 自分の今年は、9月に2年間のレイカディア大学を卒業、再びサンデー毎日の生活に戻った。引き続き、陶芸は先輩たちのグループで教えてもらっているが、ますます、未熟さに気付くこのごろである。しかし、数年前に比べて、明らかに家に閉じこもりがちになっており、これは何とかせねばならないと思っている。この時代、この歳では仕事なんて無い。
 大震災のこの年、「浮かれてはならない」という無言の取り決めができてしまって、テレビなどのマスコミも沈みがち。経済は最悪、将来の年金も見込み薄。これから日本を生きる若者は気の毒でならない。
 あと何年生きるか?、同窓会に行くたび、5年後、10年後は何人になっているかという話題になる。
 昨年の師走に過去最悪の年と書いたが、今年はもっとひどい史上最悪の年だったと思う。1000年に一度という大災害、大不況、そして、信じられない政治の無能・・・。
 人間長くても90年の中で、1000年に一度という震災、戦争、バブル好景気、未曽有の大不況などを経験したということは、かなり珍しい人生なのだろう。本当に人類滅亡の前なのか?とも思える。まあ、今年が最悪として、来年は絶対に龍のように天へ駆け上って欲しい。


お寺で甘酒をもらって。


108回のうち、64回めの・・・


年に一度の除夜の鐘を・・・



NHKテレビ「坂の上の雲」

 司馬遼太郎の名作を3年間にわたって放送した超巨編
 毎年12月いっぱいまでやっていたNHK大河ドラマを1ヶ月以上早めて、11月〜12月に1回90分で数回ずつ3年間やり遠し、先日完結した。



 全13回を足かけ3年という、とんでもない企画だった。主演の秋山真之役の本木雅弘、秋山好古役の阿部寛、正岡子規役の香川照之をはじめ、殆どの日本の演技派総出演という、ものすごく大規模なドラマになった。
 出演者もそして観る者も1年ごとにやってくるドラマに思考の継続は大丈夫だったろうか。
 司馬遼太郎は生前は、あまりのスケールの大きさに映像化への懸念と、戦争賛美となるとの心配で、ドラマ化を許可しなかったという。



 最終回「日本海海戦」でロシアのバルチック艦隊との戦闘で東郷・秋山が完勝する回もすばらしかったが、毎回、その映像は驚嘆に値する。ロシア軍側の演技陣のリアルさも特筆。これだけのすごいドラマを今後作れるのか?と思うほどだ。ただ、1話2億円かけたともいわれるこのドラマが、史上最悪といわれた今年の大河ドラマ「江 〜姫たちの戦国〜」よりも視聴率が悪かったという。今のテレビ視聴者の傾向もあるが、学校の歴史教育が明治時代よりも戦国時代の方に重きを置いていることもあるかも知れない。
 この明治の偉人たちの活躍が無ければ、今ごろは日本はロシアの植民地になって、日本の文化も言語も全て破壊されていただろうと思うこのごろ。


オープニング
 まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている。
小さなといえば、明治初年の日本ほど小さな国はなかったであろう。

 産業といえば農業しかなく、人材といえば三百年の間、読書階級であった旧士族しかなかった。
明治維新によって、日本人ははじめて近代的な「国家」というものをもった。誰もが「国民」になった。
不慣れながら「国民」になった日本人たちは、日本史上の最初の体験者としてその新鮮さに昂揚した。
この痛々しいばかりの昂揚がわからなければ、この段階の歴史はわからない。

 社会のどういう階層のどういう家の子でも、ある一定の資格を取るために必要な記憶力と根気さえあれば、博士にも官吏にも軍人にも教師にもなりえた。
この時代の明るさは、こういう楽天主義から来ている。

 今から思えば実に滑稽なことに、米と絹の他に主要産業のないこの国家の連中がヨーロッパ先進国と同じ海軍を持とうとした。陸軍も同様である。
財政が成り立つはずは無い。
 が、ともかくも近代国家を創り上げようというのは、もともと維新成立の大目的であったし、
維新後の新国民達の「少年のような希望」であった。

 この物語は、その小さな国がヨーロッパにおける最も古い大国の一つロシアと対決し、どのように振る舞ったかという物語である。
主人公は、あるいはこの時代の小さな日本ということになるかもしれない。
ともかくも、我々は3人の人物の跡を追わねばならない。

 四国は伊予の松山に、三人の男がいた。
この古い城下町に生まれた秋山真之は、日露戦争が起こるにあたって、勝利は不可能に近いといわれたバルチック艦隊を滅ぼすに至る作戦を立て、それを実施した。

 その兄の秋山好古は、日本の騎兵を育成し、史上最強の騎兵といわれるコサック師団を破るという奇蹟を遂げた。
 もうひとりは、俳句、短歌といった日本の古い短詩型に新風を入れてその中興の祖になった、俳人正岡子規である。

 彼らは、明治という時代人の体質で、前をのみ見つめながら歩く。
 登っていく坂の上の青い天に、もし一朶(いちだ)の白い雲が輝いているとすれば、それのみを見つめて、坂を登ってゆくであろう。

3年にわたった放送の経緯

第1部(2009年11月〜)
 第1回:少年の国
 第2回:青雲
 第3回:国家鳴動
 第4回:日清開戦
 第5回:留学生
第2部(2010年12月〜)
 第6回:日英同盟
 第7回:子規、逝く
 第8回:日露開戦
 第9回:広瀬、死す
 
  第3部(2011年12月〜)
  第10回:旅順総攻撃
  第11回:二〇三高地
  第12回:敵艦見ゆ
  最終回:日本海海戦


主題歌



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