白洲次郎はもちろん知っているが、奥様の白洲正子さんは殆ど知識が無かったのが現実。 |
生誕100年で13回忌にあたるこの年に、随筆家・白洲正子が執筆した随筆の中で触れている、神・仏像や絵画の名作を中心に展示し、季節感あふれる映像を交えて、美意識あふれる彼女の世界を紹介します。 白洲正子(1910−98)は、明治43年に樺山伯爵家の次女として生まれ、幼少より英才教育を受けて、能をはじめとする伝統文化に興味を持ちました。昭和4(1929)年に白洲次郎と結婚、後に評論家の青山二郎や小林秀雄と交友を持ち、古美術や骨董の世界に開眼しました。 特に、各地の寺社を訪れて、日本の伝統的な美意識と神観念、仏教との関係などを探求し、『かくれ里』や『近江山河抄』などの紀行文を中心としたもの、『十一面観音巡礼』や『西国巡礼』など紀行文とともに各地の仏像などを関連づけて述べた著作などを残し、高い評価を受けるとともに、今もその生き方に憧憬の眼差しを向ける人々が多いことで知られています。 今回の展覧会では、白洲正子の著作のなかで紹介された、国宝や重要文化財を含む、仏教美術や絵画などの作品を中心に、彼女が探求した神仏観と美意識など、美しいものを愛おしむ世界観を再検証いたします。 人々の営みを描いた風俗画や、自然の移ろいを描いた四季山水図などから、日本美術の魅力を見つめ直す貴重な機会となることでしょう。芸術の秋の第一陣の展覧会にふさわしい、日本美術の名品の数々をご覧いただける展覧会です。この機会に、皆様お誘い合わせの上、ぜひご覧ください。 |
女性ながら小さいころから能を舞った白州正子は55歳から全国を歩くようになり、その膨大な随筆に登場する美術品が一堂に集まる。 彼女の原稿といっしょに、その対象となる芸術品の本物が展示されており、非常に分かりやすい。テーマは白州正子の随筆であり、ジャンルに偏らず、大量の美術品をまとめて見られるという「おいしい企画」かも知れない。 とりわけ、神と仏のテーマが多く、仏像、宗教画が多く、たとえば、十一面観音についても名品ばかり。 『十一面観音巡礼』は名筆といわれ、渡岸寺の十一面観音をはじめ、多くの美しい観音像に関する優れた随筆となる。 巨大な円空佛、そして、金勝寺から展示されている4mもの巨大な軍茶利明王像には度肝を抜かれる。いったい、どのようにして館内に搬入したのかと興味深々。この像だけで展覧の価値がある。 |