折れた翼、JAL破綻の衝撃 2010/01/19




ついに、JALが破綻。学生の人気ナンバーワンだったときもあった。ハイチでマグニチュード8という巨大大地震。

 日本航空は19日、会社更生法の適用を東京地裁に申請し、更生手続きの開始決定を受けた。官民出資の企業再生支援機構が日航支援を決定。公的資金で3000億円以上を出資し、運航を継続させながら3年間で再建を図る。国を代表する「ナショナル・フラッグ・キャリア」だった日航は高コスト体質から脱することができず、1951(昭和26)年の発足から約60年で経営破綻(はたん)。将来を見据えた増収策には乏しく、再生の前途は多難だ。

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記事本文の続き 日航によると、負債総額はグループ3社合計で2兆3221億円で、事業会社としては2000(平成12)年に破綻した百貨店そごうを上回り過去最大となった。西松遥(はるか)社長(62)は19日付で引責辞任。記者会見で陳謝するとともに「(再建の)最後のチャンスを与えていただいた」と述べた。

 再建は「全くの素人」と自認する京セラの稲盛和夫名誉会長(77)が会長に就任して指揮する。稲盛氏は、イメージ悪化による利用客離れをいかに防ぐかに直面する。

 資金面には不安がある。法的整理により燃油価格の変動の影響を避けるための先物取引ができなくなる見込み。また、日航は民間銀行に対して早期につなぎ融資を再開するよう要請しているが、銀行側は消極的だ。

 計画の柱の一つには、14年度までにジャンボ機をゼロにし、燃費効率が優れた米ボーイングの最新鋭中型旅客機787などに置き換えることが盛り込まれている。ただ機材の小型化などには2000億円強の資金が必要だ。

 国際線では、米航空最大手デルタ航空と提携し、来年4月に航空連合「スカイチーム」へ移籍することが固まっている。羽田空港の発着枠拡大や成長著しいアジア路線を収益拡大のてこにしたい考え。だが、政府内には全日本空輸との国際線統合という強硬意見もくすぶっている。

 今後、1万数千人の人員削減などリストラが必要となる日航にとって大きな不安要因は、複雑な労使関係だ。日航には連合に加盟し労使協調を進めるJAL労組のほかに、共産党系の日航労組、機長組合など労使対決型労組が7つも存在する。

 1985年の日航ジャンボ機墜落事故の後、鐘紡会長だった伊藤淳二氏が経営再建を託されて副会長(後に会長)に就任したが、共産党系労組を優遇するなど労務対策で失敗し、1年余りで会長辞任に追い込まれた。

 稲盛氏は日航再建を引き受けるに当たって「国のシンボルである日航というよりは、社員の人が喜んでくれるよう努力したい」と述べたが、そんなことは可能なのだろうか。

 前原誠司国土交通相(47)はこの日の記者会見で「公共交通機関でなければ、本来なら清算している」と説明した。一民間企業を国民の血税で支援するのは異例の措置であり、目的はあくまで「国民の空の足」を守るためだ。稲盛氏と日航社員に注がれる国民の視線は厳しい。




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