風の画家 中島潔の世界展 2005/04/01





だれでも一度は目にしたことがある。テレビなどでも、やさしい「童画」の世界。ふわっとしたいい気持ちになる。
絵に思いっきり目を近づけ、やさしい筆づかいを感じる。そのうちの1枚。童の向こうに佐賀の「鍋島焼」の煙突の絵。近づいて見ると、小さい筆の一滴一滴の集まりで構成されている。おびただしい竹林、石垣、木々、吊り橋など。伊東若沖を思い出す。
とにかく、すばらしい絵を堪能した。描いた年代順に展示されており、50代の作品がもっとも円熟味を感じた。

以下、展示会コメントから
概 要/

  NHKみんなのうたのアニメーションに登場した、郷愁に満ちた田舎の風景と、あどけない幼な子たちの絵をご存じですか? 優しい色使いで描き出された、移り行く日本の四季の美しさとはかなさ。その中を無邪気に遊ぶ、くたくたの着物とぽっちゃりとした頬の子供たちの姿は、時代を問わずに日本人の心に焼き付けられた、懐かしい原風景なのかも知れません。
 この一連のイメージ画を手掛けた中島潔は、日本画・童画・イラストレーションの分野で高い人気を誇る作家です。1943(昭和18)年に旧満州で生まれた彼は、両親の故郷佐賀県で育ち、高校卒業後上京して、働きながら独学で絵を学びました。広告会社でアートディレクターとして頭角を現した後、33歳でフリーのイラストレーターとなり、1982(昭和57)年の「NHKみんなのうた」の「かんかんからす」のイメージ画を手掛けて、一躍全国的に注目を浴びるようになりました。以後も数々のアニメーションを手掛ける一方で、童画や女性画などを精力的に発表し、1987年のボローニャ国際児童図書展グラフィック賞をはじめとする数々の賞を受賞、国際的に活躍を続けています。1998(平成10)年には画業30年を記念して「源氏物語五十四帖」を発表し、話題を振りまきました。
 中島潔の作風は、一瞬の風のそよぎを写し取るように、風景の美や女性の心もようを描き出すところから「風の画家」と呼ばれています。独学でありながら伝統的な日本画の基本語彙をしっかりと押さえ、その上で様々な童画や絵本の表現、さらにはディズニーのアニメの表現までも我が物としながら、常に古くて新しい、時代を超えた表現を追求しています。童画に登場する幼な子たち、往年の美人画を思わせるはかなげな女性の姿は、一見、どこかで見たような懐かしい表現に思えるのですが、実は極めて現代的なスタイルで処理されていることがわかります。特に近作の「源氏物語五十四帖」では、伝統的な絵巻物の語彙を用いながらも、コンピュータグラフィックスを思わせる斬新な意匠と緻密な色面処理、平面性と奥行きをうまく両立させたユニークな空間処理などによって、誰にも真似できない、独自のモダンな表現が生み出されています。
 今回の展覧会では、「日本のこころ・故郷のこころ」をテーマに、新作・代表作約100点を展示し、中島芸術の魅力を紹介いたします。




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