中国3000年以上前の仮面文化「三星堆」 1998/07/19



世田谷美術館にて。

 これが中国かと疑うばかりの、とんでもない仮面文化が発掘された。
 中国3000年以上前の文化である。
 青銅の巨大な異様な仮面、高さ3メートルもの奇怪な立人像など、ものすごくショックを受けた。
 三国志の舞台となった、蜀の国の地下にはるか昔の古蜀で、この奇妙な仮面文化があったという。

 中国内陸部、長江上流域に広がる四川盆地。
1986年、その四川省の省都、成都に近い三星堆村で、古代の遺跡が発見された。
 三星堆の名は、三つの土盛りがオリオンの星のように並んでいたことに由来しています。遺跡には、おびただしい数の青銅品、金製品、玉石器などが埋蔵されていた。
 目玉が筒状に大きく飛び出した巨大仮面、大胆にデフォルメされた目と耳を持ち、金箔に覆われて沈黙する仮面群、そして高さ2.6メートルにも及ぶこれも奇怪な立人像・・・、次々に発掘される、従来の中国考古学の常識を覆すような謎の造形群は、考古学者をはじめ、さまざまな分野の人たちの関心と想像をかきたてずにはいませんでした。

  

 今から3000年以上も前、黄河中流域に殷周王朝が栄えたほぼ同じころ、長江上流に謎の仮面王国が存在した──発見以来、あらゆる可能性が議論されてきたにもかかわらず、何らかの王国がかの地にたしかに存在したという事実以外に、実証的にはほとんど明らかにはなっていません。
 したがって、いうまでもなく、その歴史的な位置づけはいまだ確定していないのです。
 けれども、中国大陸における古代の文明は、考えられていた以上に豊かで多元的であったことが知られるようになりました。


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